吉野アンバサダーのアクセサリー開発プロジェクトでは、「吉野杉のおがくずをレジンで閉じ込めたシリーズ」と、「漆塗りの檜ビーズを使ったシリーズ」という2種類のアクセサリーを開発中です。
この記事では、プロジェクトチームがアイデアを実際にアクセサリーという形に作り上げていった過程を、アンバサダーの南がご紹介します。
アクセサリー開発に対するプロジェクトメンバーの思い
吉野杉のおがくずを使ったアクセサリー制作は、「吉野の伝統産業である割箸製造の際に出る“おがくず”を活用したい」という想いから始まりました。
吉野の人々は、昔から木材を無駄なく使い切るために工夫を凝らしていました。この地域で割箸製造が盛んに行われてきたのも、酒樽や建築材を作る際に出る端材を無駄なく使い切るためだったといわれています。
強く長持ちする箸に仕上げるためは木材を何度も削る必要があり、その過程でどうしても出てしまうのがおがくずです。普段は破棄されてしまう物ですが、元は樹齢100年を超える高級木材の吉野杉であり、長年の経験を積んだ職人による手間のかかる作業の末に生まれたものです。
そこで、このおがくずをレジンで閉じ込め、クリアビーズに加工したアクセサリーを開発することになりました。
一方の漆塗りの檜ビーズを使ったアクセサリーは、「吉野の素材と紀伊半島に伝わる伝統的な漆塗りの技術を組み合わせた、モダンなデザインのアクセサリーを作りたいな」という発想の下、開発に取り組みました。
アクセサリーのデザインができるまで
ここで、私たちがどのようにして2種類のアクセサリーを開発していったかを振り返りたいと思います。
プロジェクトのメンバーは吉野在住者ではなく全国各地から集まっているので、商品開発は基本的にオンラインで行われました。プロジェクト開始時に自宅に届いた吉野ゆかりの様々なモノを見ても、なかなか具体的なアイデアが浮かばずにいた私……。
そんな時チームメンバーの灘岡さんから、おがくずをレジンに入れたアクセサリーを作ってみたという報告と写真が届き、私もそれを真似てイヤリングを試作してみました。
実際に装着して綺麗に見えるか、パーツを調達できるか、デザイン通りに成形できるか……。様々な点を考慮しつつデザインを決めていく過程は非常に楽しく、「吉野杉のおがくずを使ってアクセサリーを作るワークショップを開催しても楽しいだろうな」などと考えつつ試作品を何パターンか作成しました。
その中でも私の一押しは、淡水パールをおがくずと一緒にレジンに閉じ込めた大きめのイヤリング!おがくずが持つ流線的で動的な雰囲気と木を育む水をイメージして製作しており、メンバーからの反響も良かったため商品化が決定しました。
こうして開発が進んだ吉野杉のおがくずを使ったアクセサリーに対して、「漆塗りの檜ビーズを使ったアクセサリー」は実際にプロジェクトメンバーが吉野を訪れたことによって生まれました。
そのきっかけは吉野視察中に訪れた、檜を専門に取り扱う製材所さんで小さな檜のキューブいただいたこと。この製材所の社長さん自身、檜を建材や雑貨、アロマオイル、精製水など様々な商品に加工して廃棄物を出さないことをモットーとしているそうで、「プロジェクトのためなら」と快く素材を提供してくださいました。
このキューブに、漆塗り職人さんを知り合いに持つメンバーの田中さんの発案で和歌山県発祥の「根来塗り」を施したところ、仕上がりは何とも味がありシック!ご協力いただいた職人さんは「伝統的な手法の継承だけでなく、漆塗りを使った新しいことにも挑戦したい」と日頃から考えていたそうで、顔料を混ぜ合わせた漆を塗ったカラフルなアクセサリーパーツも制作してくださいました。
漆は特性上染料を混ぜても明るい色を出すのが難しいそうで、塗りを施したキューブは大人の女性に似合うマットな色合いに仕上がりました。単体ではかなり落ち着いた印象になるため、レジンで吉野杉のおがくずを閉じ込めたビーズと合わせて華やかさをプラスしたイヤリングなどを制作する方向で現在プロジェクトは進んでいます。
商品化・販売開始まではあと少し!
コロナ禍で吉野を訪れたりプロジェクトメンバーと実際に会って打ち合わせしたりできない状況の中での商品開発のため、現在私たちのチームではモノづくりの大部分がオンライン上だけで進んでいます。本当に凄い時代ですね!
今後は、記事の中でご紹介したアクセサリーシリーズの更なる商品開発や改良を重ねていきます。また、吉野産の和紙や吉野杉を使った商品台紙の作成の他、商品の背景にあるストーリーを盛り込んだブランド名・商品名の決定などを行って実際に販売できるように準備していきます。
私たちが制作したアクセサリーが、皆様にとって吉野の木材産業や地元の人々が受け継いできた自然を大切にする文化に触れるきっかけになれば嬉しいです。
アクセサリーの商品化・ブランドの誕生を皆様どうぞお楽しみに!