よしのーと!

吉野アンバサダー

知る人ぞ知る体験価値を楽しめる巡り方

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どこの地域にも、知る人ぞ知る興味深い人や物、スポットやエピソードというものが潜んでいるものです。

吉野アンバサダープロジェクトに参加して吉野の方と深く関わるようになった私には、高い技術を持つ地元の工場やオリジナリティあふれる商品を販売する会社など、観光客としてこの地に遊びに来ているだけでは気づけなかった吉野の魅力が見えてきました。

けれど、一般の観光客がそういった事業者さんに出会うことはなかなか難しいでしょう。そこで私が思いついたのが、「RENEW(福井県)」や「DESIGN WEEK KYOTO(京都府)」のような工場・工房見学イベントを開催すること。吉野町を訪れた方が町内に存在する様々なモノづくりの現場で見学やワークショップを体験し、事業者側は訪れた方々との交流の中で新しいアイデアを生み出し商品開発などに活かす――。そういった相互関係を築くことができればと考えています。

この記事では、吉野版「Design Week」 が実現した際にはぜひ協力を仰ぎたいと私が密かに願っている、吉野町のいくつかの事業者さんをご紹介させていただきます!

 

①草木染めcraft 冬青そよご

個人作家さんが吉野山で営む草木染めのお店です。注目ポイントはその鮮やかな発色と、染めに使用される植物の産地。

冬青さんで販売されている糸や商品は全て吉野の植物で染められています。自然の中で採集されたものだけでなく、桜本坊や金峯山寺きんぷせんじ、西行庵といった吉野町内の名だたる場所から分けてもらった落木や枝を使って染められた商品も販売されています。

気に入った色味のものがあれば、店主さんにどこの植物で染めたのかを尋ねてみてください。購入したお気に入りの商品を手に、実際に植物を採集した場所を訪ねてみると、より良い買い物をした気分になれること間違いなしです。

お店を訪れた際、私はピンクと水色のスカーフを購入しました。「鮮やかな色だなぁ」と一目ぼれして手にとったのですが、聞けば西行庵の桜で染めたものだというのです!

西行庵は歌人・西行が暮らし、吉野にまつわる多くの和歌を詠んだ場所。山々が開けたところに建っており、桜の季節は辺りをピンク色に染める桜を眺めることができる、幻想的な場所です。そんな所で採集された桜の落木を使って染められたスカーフ……。軽くて暖かいだけでなく縁起が良いもののように思えて、 とても気に入っています!

 

②豆富茶屋 林

吉野山の豆腐屋「林とうふ店」さんが運営する、物販コーナーも備えたカフェです。飲食店やお土産店が並ぶ吉野山中千本エリアの中腹あたりにあり、食事やおやつタイムだけでなくお土産を購入したい時にもぴったり!

自慢の豆腐は、奈良県および紀伊半島地域の材料を使い、お店のすぐ近くにある工房で手作りされています。林豆腐のメニューを色々試したい時には豆腐を使った様々な料理が楽しめる「豆腐づくし膳」、周辺散策に疲れて甘い物が食べたい時には豆乳スイーツをぜひどうぞ。

お土産なら、分厚い“お揚げさん”がおすすめ。軽く焼いて醤油を垂らすと、ジューシーさとしっかりした豆腐の味が楽しめてとても美味しいです。

 

③美吉野醸造

吉野の風土に合った日本酒造りを大切にしている酒蔵です。必要以上の手入れはせず、昔ながらの酒造りを行っているため、同じ銘柄の日本酒でも醸造年によって風味が異なるのだとか。

代表銘柄は、「花巴」という種類。他にも日本酒が苦手な私でも飲める白ワインのような「Nature Nature」や、吉野の自然の力を活かした酒造りへの想いを反映した「自然淘汰」というお酒もあります。また、アルコールが一切ダメな方でも飲めるノンアルコールの美味しい甘酒も販売されているので、ぜひ一度訪れてみてください。

美吉野醸造の日本酒「自然淘汰」

 

④吉野杉の家

吉野川の川辺にたたずむ開放感溢れる小さなゲストハウスです。宿を貸し出したい人・借りたい人をつなぐウェブサイト「Airbnb」と吉野町がタッグを組み、吉野の木材を使って建築しました。

1階には吉野杉、2階には吉野檜が使用されているシンプルでお洒落な空間です。高級建材として広く知られる吉野木材の良さや吉野の木を使ったモノづくりの技術を感じたい方は、ぜひとも訪れてみてください。

「吉野での滞在時間が短くて宿泊は難しい」という方もご安心ください!予約すれば運営者による案内の下、建物内を見学可能です。しかも吉野杉のモノづくりに関する資料とお茶付き。運営者は近隣の製材所などで働く方々なので、吉野木材のことや吉野の木材産業について教えていただくことができますよ。

 

⑤寺本木材

メーカー向けの建材だけでなく、木材を使った様々な雑貨を製作・販売している寺本木材さん。特筆すべきは、木材を自然乾燥させているということ。

山から切り出された木材は、そのままの状態では水分が多く含まれていて変形しやすいため乾燥させる必要があります。近年は効率化するため機械を使ってこの工程を行う製材所が多いのですが、寺本木材さんでは木の持つ強度を最大限まで高めるため自然乾燥を行っています。断面の大きな木材は完全に乾燥するまでに2~3年かかることもありますが、それでも自然乾燥は譲れないこだわりなのだそうです。

製材所内にはショールームも併設されています。吉野杉の一枚板や建材だけでなく日常使いできるような木製雑貨も展示されているので、訪れた際はぜひ覗いてみてください。ちなみに、寺本木材さんは難しい技術が扱える数少ない製材所。その技術は雑貨にも活かされており、特に割箸をみるとその技の凄さを実感できます。

割箸の角を取ったり箸の両先を細く削ったりするだけでなく、寺本木材さんでは表面に機械でレーザー加工を施して紋様や名前などを掘ることもできるのです!吉野木材が持つ自然の美しさと現代のハイテクマシンによって生み出される「文様割箸」……一見の価値ありです。

 

⑥喜多製材所

吉野杉だけでなく檜やカシの木も扱っていて、一歩足を踏み入れれば様々な木の香りを感じることができる喜多製材所さん。

木材から数々の雑貨を生産しており、檜のビーズで作った枕や色んな使い方ができる「木のたまご」、檜から抽出したオイルや精製水など、オリジナリティあふれる商品が勢揃いしています。このモノづくり魂の背景には「木には捨てる部分がない」という代表の信念があるそうで、製材の過程で出るおがくずや檜の葉っぱすらも雑貨に生まれ変わらせている、なんともサステナブルな製材所さんです。

ちなみに、喜多製材所さんが製材した吉野木材は建材としても高い評価を受けており、なんと東京駅のシンボル・ドーム型の窓の材料にも使用されているそうです!

 

⑦植和紙工房

約1300年の歴史があるといわれる吉野の和紙作り。その伝統的な製法は守りつつ新しい和紙作りも行なっているのがうえ和紙工房さんです。

6代目代表のうえ浩三さんが昔ながらの製法で漉くのは「宇陀紙」という和紙。掛け軸の裏などに使われており、京都の表具店などでも重宝されているそうです。

近年掛け軸を飾る家庭が減り和紙の需要が減少していることを受け、植さんは立体的な紙漉きを行ったり、これまでとは違う和紙の使い方の提案をしたりしています。植和紙工房の和紙を使って照明器具などのインテリアグッズを製作しているアーティストもいるので、気になる方はぜひネットなどで探してみてください!

ちなみに、私が植和紙工房で作業のお手伝いをした体験記もあるので、良ければ覗いてみてください。
https://note.com/minamiepoch/n/n3978aa8da5cf

 

⑧福西和紙本舗

「表具用手漉和紙(宇陀紙)製作」選定保存技術保持者であり、奈良県伝統工芸士でもある6代目代表の福西さんが営む和紙工房です。

福西さんが作る「宇陀紙」は、原料となるこうぞを自ら育てて漉いたもの。国内外の文化財の修復やインテリア等にも多数用いられているそうです。他にも、檜や杉といった吉野ならではの素材を漉き込んだ和紙や草木染の和紙なども作られているので、工房を訪ねた際はそれぞれの違いを見比べてみると面白いと思います。

吉野の魅力的な事業者さんは他にもたくさん!
ここまで吉野町内の8軒の事業者さんをご紹介しました。気になる工場や工房はありましたか?

吉野町には他にも、古民家カフェや興味深いゲストハウス、美味しいキノコを生産する農家さんなど、記事の中ではとてもご紹介しきれないほどたくさんの魅力的な事業者さんが存在します。そんな場所に一般観光客でもアポなしで訪問でき、普段はできない見学やワークショプなどが体験できる期間・吉野版「Design Week」を実現できるよう企画していくので、皆さまどうぞお楽しみに!

吉野アンバサダー

吉野アンバサダー

奈良県吉野町を盛り上げるため、全国から集結した吉野ファンの集団が「吉野アンバサダー」です。約60人のメンバーそれぞれが独自の経験や特技を生かして商品開発やイベント企画などに取り組んでいます。

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