こんにちは、私は奈良女子大学で学んでいる留学生の高麗です。
この度、非常に古い歴史と豊かな森林で有名な奈良県吉野町でインターンシップ生として受け入れて頂きました。今回は、吉野町内の製材所・寺本木材さんで木の箸やコースターを作る貴重な体験をさせて頂いた際のことについてお伝えしたいと思います。
まず私が工場に入って目にしたのは、製材所内の至る所に積んである様々な種類の木材(杉や桧)です。静かで平和な吉野町で、製材所の職人さんたちは日々、一生懸命に木材製品を作っています。
なぜ吉野杉はブランド木材として有名?
吉野杉には均一で綺麗な年輪があり、自然を感じさせる木材の香りがします。また、色も美しいので吉野杉を使った製品は見た目が美しいです。原材料としても、他の地域の木材よりも密度が高いため、強度があります。
製材の工程はシンプルですが非常に興味深いです。以下に、一般的なプロセスを紹介したいと思います。
- 機械を利用して、木の表面の粗い樹皮を除去し、厚い板の形状にします
- 職人さんが、厚い木材の板から、不均一な部分を慎重に切り取っていきます
- 滑らかになった厚い木の板を、機械を使って小さな長方形の板に分割します
(長方形になった木の板ですが、寺本木材ではコースターを作るための材料として使用します。ちなみに、分割する木の板の大きさは、その後に製造する商品次第で、様々な形状に加工されます)
最初に行う木材処理の工程が終わったら、その次の工程では、木材を様々な用途に合わせて加工していきます。
コースターの製造工程
1.薄く・小さく加工した木の板を、機械に入れて固定する
機械を使って、コンピューターに保存してあるパターンをレーザーで木の板に焼き付けていきます。すると、レーザーで焼かれた部分は木の板から自然にくり抜かれて落下します。
レーザーでくり抜かれた木材は、小さくて可愛らしくて、小さな芸術作品みたいではないですか?これらを最大限に活用して、廃材となる木材で工芸品を作れば、廃棄物のリサイクルになるのではないかと私は思います。
2.彫刻刀のような工具で、木の板に残った部分を落とす
「透かし模様のコースター」は、実際に自分で作ってみるとすごく繊細な技術が必要で難しいです。木材をくり抜く際にわずかでも手が狂うと、商品として販売できなくなってしまいます。また、長い間頭を下げてじっとコースターをくり抜く細かい作業を行っていると、首と目がすごく疲れてきます。
この経験を通じて、職人さんが作る木工雑貨は、本当に一つひとつ手仕事で作られているということを実感しました。日本製の商品の価格が高い理由を理解することができました。
3.仕上げを行う
木材のくり抜き作業の後職人さんが仕上げを行なって、ようやく非常に繊細な和風コースターの完成です!完成した素敵なコースターを見ると、しばし疲れを忘れてほっとした気分になります。
今後吉野林業をどう生かしていくか伺いました
寺本木材を含めた吉野町内の製材所の皆さんは、「今後、吉野林業をどう生かしていくか」について研究を行っていることから、吉野木材の特性をよくご存じで、その材質を最大限に活用した商品を製造されています。例えば、表面が滑らかな積み木のおもちゃや時計、ティシュペーパーホルダー、装飾品などです。
今回、私は木の箸やコースター作りを初めて体験しましたが、想像以上に新鮮で面白い経験となりました。特に、コースターの焼き付けとくり抜きの工程は非常に魅力的だったため、私は「職人」という仕事にすごく興味を持ちました。
日の出から日の入りまで、日々、粛々と目の前にある仕事をこなす姿は、まさに職人。その職人さんの熟練したスキルを知り、また、私自身が繊細な木工商品の製造に携わることができ、非常に充実した体験でした。皆さん、吉野町に来て木工体験をすれば、身も心もリフレッシュすることができますよ!ぜひ、吉野町でそんな体験をしてみて下さいね。
株式会社 寺本木材
TEL:0744-23-7188
ホームページ:http://teramoto-mokuzai.jp/
*見学のみ、体験ともに要予約