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身体も心もデトックス!やまと薬膳を学んだ私の「食養」体験記

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主婦であり、以前から食に関心があった私が薬膳と出会ったのは、2014年9月に奈良県民フォーラム内で開催された「『やまと薬膳』で新しいライフスタイルを発見!」という講演会でのことでした。

「薬膳」という言葉に惹かれ、期待に胸を弾ませながら参加した私は、「やまと薬膳」を研究開発されている講師のオオニシ恭子先生が「普段から食べている食事によって、病気が回復したり身体の調子が良くなったりするんです」とお話されていたのに深く感銘を受けました。以前から、漢方薬が身体に良いことは知っていましたし、医食同源という言葉も知っていて、添加物の多い食品を食べると病気になったり調子が悪くなったりすることもあることは認識していたため、私は随分前から添加物を出来るだけ控えるようにしていました。

しかし、なぜか「『食事』そのものが、病気回復や身体の調子改善にダイレクトに繋がっている」とは考えたこともなかったのです。人間の思考回路は不思議です。長年添加物の多い食品を控えてきた私でしたが、その当時、身体の調子が良いとは言えない状態だったこともあり、この講演会の後にオオニシ恭子先生のお料理教室に参加し始めたのです。

体調が芳しくないと気分も晴れないものです。しかし、食を変えると人生も変わっていくことを実体験した私の経験から、周りの人の健康への関心が徐々に高くなっていきましたました。食を変えると人生も良い方に変わることを、皆さんにも知って頂きたいので私の食養実践を少しご紹介させて頂こうと思います。
 

Aさんのケース

ある日、私がお世話になっている無農薬・無化学肥料で農業をされているご友人の畑に伺ったところ、いつも元気なAさんの姿が無く、近くの畑で農作業をされている方から「Aさんが今日○○病院に入院したらしいよ」とお伺いしました。それは大変なことになったと、私はAさんのために葛湯を作ってお持ちすることにしました。

乾燥した大和当帰葉

用意した素材は、農家のAさんが育てた「大和当帰葉」と、私の自家製の「乾燥よもぎ」、「ひね生姜をスライスして30分間圧力鍋で蒸して乾かした生姜」。この3つを土鍋に入れてコトコト煎じ、茶こしで濾してから水で溶いた吉野本葛を入れ弱火で何度もかき混ぜます。そして、小豆を煎ってパウダーにした市販の「ヤンノー」を入れ、仕上げに手作りの3年味噌で味付けした特製の葛湯です。

この葛湯と一緒に、約10㎝の大きさに切ってトースターで焼いた出汁昆布を持参してAさんの病室に伺いました。「焼いた出汁昆布はMRIやCT検査による身体への負担を減らすので毎日食べて下さい。葛湯は今すぐ召し上がって大丈夫なので、余った分は翌日の朝食前に食べてください」とお伝えしました。

翌日、青じその茎を使った足湯用の原液を作ってAさんにお届けすることにしました。大きな鍋でたくさんの青じその茎をぐつぐつ煮て2リットルのペットボトルに詰め、洗い桶を持って病室を訪れたのですが、そこで目にしたAさんの様子は本当に本当に衝撃的でした。Aさんは昨日と違い見違えるほど元気になっていたのです!私は、驚きと喜びで興奮しつつ足湯セットを取り出して、「ペットボトル半量の足湯と、病院で用意したお湯を混ぜて30分ほど足を浸してください」とAさんにお伝えし、その日は病院を後にしました。

3日目には、Aさんが明らかに元気になっているのが分かりました。そして1週間ほど過ぎた頃、退院を知らせるメールが届いたのでした。当初、長ければ退院まで1ヶ月程かかるかもしれないと聞いていたのに、こんなに早く回復するなんて…。退院後の検査でも問題が無かったそうで、とても安心したのと同時に食養の効果に驚いたのでした。

 

Bさんのケース

もう一つ、私が経験した驚きの食養体験をご紹介します。
2019年のある日、知り合いのBさんから「喉の調子が悪くて声がかすれて治らない。何か悪い病気かもしれないので心配だ」ということをお伺いしました。そこで私は、無農薬の農家のAさんから頂いた黒豆を水に浸して、時間をおいて水が黒くなったら黒豆を取り出して、そこに吉野本葛を入れて葛湯に仕上げたものを作りました。

お渡しする際には、半量を今すぐに食べて、残りを翌日の朝食前に食べるようにお伝えしました。翌日のお昼過ぎにBさんからメールが届き、「すごく喉の調子が良くなりました」とお伝え頂きました。数日後にお会いした時には、声はすっかり元に戻っていたのです。本当に食養に効果があるということを改めて実感した体験でした。

 

それぞれの生薬の効果

私は、オオニシ恭子先生のお料理教室で教えて頂いた知識を生かしてAさんやBさんのために作った葛湯の材料を選んだのですが、正直なところ、こんなにも効果があるとは思ってもいませんでした。実際に効き目が抜群だったこともあり、今回使用した材料についてお伝えしたいと思います。

 

  • 大和当帰葉:ビタミンEをはじめ、様々なビタミンやミネラルが含まれており、抗酸化作用も期待できます。
  • よもぎ:抗酸化作用があり、利尿作用によるデトックス効果も期待できます。日本人は古くから薬草として利用したり草餅にして食べてきました。
  • 3年味噌・生姜:体を温めます(生姜を蒸すことによりショウガオールが増えて体を温めます)。
  • 黒豆:声枯れに効き、気管支炎、喘息にも効果があるとされています。
  • 葛:イソフラボンやサポニンが豊富に含まれており、「万能薬」とも言われています。血流改善効果があり、新陳代謝や病気に対する抵抗力アップが期待できます。

オオニシ先生は時々、「『薬』という字は草を楽(たの)しむ、草で楽(らく)になる」とおっしゃいます。それは昔の日本人の鋭い感性と叡智、そこに先生自身の経験を加えた含蓄のある言葉だったことが、食養体験を通じて私にも分かったのでした。「人間は自然の恩恵を受けて生きており、自然に生かされている」と言われることがありますが、その意味が今では深く理解できるようになりました。

私たちは、人間こそが生態系のトップだという幻想を持っています。しかし、ひとたび災害が起きると、人間も動物も昆虫も、山も植物も微生物も全部同じように影響を受けます。地球が「人間だけは特別に助けてあげよう」と言ってくれている訳ではないのです。地球上に存在するものは全て平等で、それぞれは繋がった一つの集合体のようなものです。だからこそ、自分と同じぐらい地球や自然を大切にする必要があるのだと思います。自分を大切にするためには、日頃から無理をせず、疲れたら早めに休養にとって免疫力を高め、過度なストレスを溜めず、快適な食生活を送ることが肝心です。人間の身体は、口から取り入れた食べ物によって出来ていることを日々意識して、腸内細菌が元気に働けるような食べ物を摂り、毎日いきいきとした生活を送ることを心掛けたいですね。

参考:
大森 一慧『からだの自然治癒力をひきだす食事と手当て』サンマーク出版, 2008

※記事内記載の説明・効能・用法などの説明は、一般的な民間薬としての説明です。弊社が使用を推奨・保障するものではありません。

よしのーと編集部

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