よしのーと!

吉野山

吉野の春のお花見事情~吉野山在住のアメリカ人が解説します!~

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あなたがこの記事を読んでいるということは、日本で有名な吉野山の桜に興味を持たれているということですね!お待ちしておりました!

この記事では、吉野山在住、桜の季節に吉野を訪れる外国人のサポートもしているアメリカ人の私が、吉野山でのお花見に役立つ情報をご紹介します。

 

吉野山はどんなところ?

吉野山とは山の稜線沿いに建てられた町のことを指し、桜の名所として知られています。「山」と名前につくものの、実際には地域の名前にしかすぎません。ただし急な坂は多いので、観光の際は坂を上ったり下ったりしながら何時間も歩かなければいけない事をご承知ください。

吉野山は深い歴史を持つ地域なので、有名な寺社仏閣が数多くあります。飲食店のほか、葛や柿の葉寿司といった名産品やオシャレな商品を売るお店もあります。宿泊施設も多数ありますが、ホテルではなく旅館や民宿タイプの宿です。

 

桜のベストシーズンは?

「桜はいつ咲くのか?」という質問については、吉野山に住む私でも「気温により左右される」としかお答えできません。また、「ベストシーズン」という表現も吉野山の桜においては難しいのです。吉野山には数千種類の桜があり、山の下部から上部にかけて咲き上がっていきます。そのため、訪れる時期が早すぎると下部の桜しか見られず、逆に遅すぎると山頂の桜しか見ることができません。

例年4月5~10日頃であれば山全体に咲く桜が見られるのですが、絶対とは言えません。私の経験から言えば、早すぎる時期よりは遅いぐらいの時期にお越しいただく方がおすすめです。散りかけであれば、山の各エリアに咲く桜だけでなく、美しい桜吹雪も見ることができます。

いわゆる「例年通り」の気温だった2017年、桜のピークは4月5~8日頃でした。しかし翌年はとても暖かい年で、3月末~4月の頭には満開を迎えました。そして2019年は、2~3月の暖かさにもかかわらず3月末頃に冷え込む日が続いて開花が遅くなり、4月8~11日頃に満開となったのです。そして、桜は風が強かったり雨が降ったりすると早く散ってしまいます。

ここまでお伝えすると、お花見旅行の予定を立てるのがとても難しい事がお分かりいただけたのではないでしょうか。なので、日程を調整できるように予備日を設けておくと良いと思います。吉野山には素敵な宿がたくさんあるので宿泊していただくことをおすすめしたいのですが、日程の調整という点から言えば、宿を予約しておくよりは日帰り旅行で訪れる方がいいかもしれません。

ちなみに、開花状況など桜に関する最新情報は下記サイトで公開されています。開花時期が近づきましたら随時情報を更新しますので、ご参考になさってください。
吉野ビジターズビューロー:桜の開花状況

 

吉野山のベストお花見スポットはどこ?

吉野山の桜は、4つのエリアに分かれて植えられています。山の下部は「下千本しもせんぼん」と言われ、上部に行くにつれてそれぞれ「中千本なかせんぼん」「上千本かみせんぼん」「奥千本おくせんぼん」と呼ばれます。桜は標高の低い下千本から奥千本にかけて咲いていくので、上記でお伝えした時期にお越しいただければ、どこかのエリアで桜が咲いています。観光道沿いやお寺の庭などでも様々な種類の桜が見られるので、散策しながらのお花見がおすすめです。

下千本と呼ばれるエリアは、標高207メートルの近鉄吉野駅あたりから始まります。電車を降りると、そこはもう桜の世界!観光客の中には、「ここでも十分きれい!」と言う人もいます。そこから吉野山の奥千本(標高736m)までは、寄り道せずに真っすぐ歩いても7kmほどあります。

この道中にある有名なお花見ポイントは、開けた視界が広がる吉水神社と花矢倉展望台です。吉水神社からは山全体に広がる桜を見上げることができ、花矢倉展望台からは絨毯のように広がる桜を眼下に眺めることができます。

お花見をしながらの散策やピクニックをしたい方であれば、下千本~上千本エリアがおすすめです。近鉄吉野駅から「七曲り」と呼ばれる坂道を上っていくと、飲食店やお土産屋さんが並ぶ吉野山のメインストリートへと繋がっています。もし、人通りが少ない場所で木々をバックに写真を撮りたいのであれば、時間と労力は必要ですが、中千本・上千本まで行ってみてください。

山奥に続いており、杉とヒノキの人工林に囲まれた奥千本は、実は4つのエリアの中で最も桜の少ない場所です。とはいえ、立派な桜やピクニックができる場所もあるので、訪れる価値はあります。また、奥千本には近年新しく植えられた若い桜が数百本もあるので、これらが大きく成長して満開になる未来の姿を想像する……という楽しみ方もできると思います。ちなみに、奥千本は4つのエリアの中で最も観光客が少ない場所です。

 

とにかく大混雑!

約10日間で30万人もの観光客が訪れる桜の季節は、吉野町が1年のうちで最も混みあう時期です。吉野山は比較的狭いエリアであり、1本の細いメインストリート沿いに町民が生活をしています。そのため、観光客が押し掛けるとメインストリートは2~4キロに渡る人の群れとなり、車道は渋滞し、吉野へと向かう電車も東京のラッシュアワーかと思うほどすし詰めになります。

桜の時期の吉野山は、本当にどこもかしこも大混雑です。ギュウギュウの電車で立つことも、トイレの順番待ちも、昼食をとる場所(それどころか座る場所も……)が見つからないことも覚悟の上でお越しください。吉野山の桜と人混みは、もはやセットと言っていいでしょう……。

人混みを避けるには

残念ながら、桜が満開の時期の人混みを避ける方法はありません。初めてピークの時期に吉野山を訪れた際、私は人混みから逃れようと必死に山を登っていったのですが、どのエリアにも多くの人がいました。まるで桜で作られた、混みあう巨大迷路に放り込まれたかのような気分でした。ここで皆さんに、私が自分の経験から学んだ人混み対策をお伝えしたいと思います。

  • 休日は平日よりも混雑する
  •  → 平日の早い時間であれば、混雑は少しマシです。

  • 夕方~夜の散策もおすすめ
  •  → 吉野行の午前~14時頃の電車と、吉野発の昼過ぎ~夜にかけての電車は大変混雑します。この時間を避けることで、快適に散策を楽しめます。(夕方以降は、飲食店・お土産屋さんは閉まっているところも多いですが……)

  • 昼食は持参を
  • 来訪は電車がおすすめ
  •  → 大渋滞する山道の運転や駐車場探しはもはや悪夢です。電車であれば、駅に到着すればすし詰めから解放されるので、車よりは電車を選ぶ方がストレスが少なくて済みます。

  • 公共交通機関を使わず、歩くのもあり
  •  → 吉野山にはバスやロープウェイがありますが、常に行列ができています。吉野駅からメインストリートまでは、徒歩約20分です。

  • 散策マップをゲットしよう
  •  → 吉野駅前にある観光案内所や、吉野山観光駐車場の前あたりで配られている散策マップがあると便利です。

  • 荷物は最小限に
  •  → 吉野駅前などにコインロッカーはありますが、埋まってしまうことも多いです。荷物を持って山道を歩くことに備えて、持ち物は最小限にしましょう。

  • う回路も使おう
  •  → 吉野山を歩いて上る際は、メインストリートとは異なる別ルートを使うと少しは混雑が避けられます。吉野駅の正面右手にある道はメインストリートにつながっていて混雑しますが、左手の方にある「ささやきの小径こみち」は圧倒的に人が少ないです。(道中で見られる桜も少ないですが……)

ささやきの小径とは

ささやきの小径はメインストリートと平行に通っている道で、山の中腹や上部の複数個所でメインストリートに接しています。人通りが少ないので、静かに自然の風景を楽しみたい方にはピッタリの道です。ちなみに、私は四季折々の景色を楽しみながら、よくこの道を散策しています。

ささやきの小径は、右に行けばメインストリート、左に行けば如意輪寺へと繋がる分かれ道まで続きます。如意輪寺付近からは別のハイキングコースが伸びており、その道を進むと花矢倉展望台の付近でメインストリートと合流します。如意輪寺付近には他にも、吉野地域で一番美しい高滝へと続く細い道もあります。

 

吉野山にあるもの

地図など:
様々な情報が載っているパンフレットは吉野駅前にある観光案内所や、吉野山観光駐車場の前あたりで配られています。

トイレ:
吉野駅から奥千本にかけて数か所に公衆トイレがあります。駅を出てすぐのところにあるトイレは、ピークシーズンには長い列ができます。20分ほど歩くとロープウェイの駅の横にも公衆トイレがあるので、そちらを使うと良いかもしれません。

ATM:
吉野山のATMは郵便局にある1つのみのため、ATM内の現金が尽きてしまうことも頻繁にあります。吉野駅から2駅の近鉄大和上市駅から徒歩圏内にあるローソンでも現金が引き出せます。吉野山の小さな商店ではクレジットカードが使えないことも多いので、ご注意ください。

飲み物:
販売するお店や自動販売機もたくさんあります。しかし、中千本エリアを過ぎるとほとんどないので、事前に準備しておくのがおすすめです。

公共交通機関:
バスは吉野駅前から約15分に1本、吉野山中腹の「中千本バス停」まで出ており、中千本バス停近くの「竹林院旅館バス停」から奥千本まで別のバスが出ています。2つのバスは運行会社が異なるため、乗り換えが必須となります。ちなみにこのバスは桜の時期だけの臨時バスです。

吉野駅付近からはロープウェイも出ているので、歩くと25分ほどかかる坂道「七曲り」を避けたい方はご利用ください。

Wi-Fi:
1回20分、1日10回まで使えるフリーWi-Fiが吉野山各所で飛んでいます。ホットスポットにはWi-Fiのイラストが描かれたシールが貼ってあるので、ログインしてご利用ください。

Nate

Nate

奈良北部で数年暮らした後、南部・吉野への移住を決めたアメリカ人。外国人に吉野の魅力を伝えるための活動をしています。

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