「次の休みには関西に行ってみようかな」とお考えの方!関西を訪れるなら、有名な観光地から少し足を延ばして奈良県明日香村にも立ち寄ってください。
明日香村は大阪や京都といった世界的にも有名な観光地とは異なり、小さな集落と棚田が広がる、どこか懐かしい雰囲気が残る奈良中部の村です。しかし、かつては都が置かれており、日本の歴史では外せない「飛鳥時代」の舞台となった場所でもあります。
明日香観光は車でも可能ですが、せっかくであればゆっくりと景色を味わえるレンタサイクルでの観光がおすすめ!近鉄線飛鳥駅前にはレンタサイクル店が何店舗かあり、受付表の記入など簡単な手続きだけで借りることができます。子供用自転車や電動自転車が選べるお店もあるので、家族連れや体力に自信がない方でも安心です。
知らない土地でのサイクリングとなると、少し不安な方もいると思います。そういう場合は、ガイドさんが道案内と観光名所の紹介をしてくれるサイクリングツアーを利用してみてはいかがでしょうか。今回は2019年11月に私が「にわサイクリングツアーズ」社主催のツアーに参加して感じたことも交えつつ、明日香村でのサイクリングの魅力をご紹介します!
明日香村サイクリングツアースタート
今回のツアー参加者は、主に関東地方から集まった約10人。ツアー自体は3日間かけて奈良県内を回るというものだったのですが、私は明日香村を巡る最終日のみ参加させていただきました。近鉄飛鳥駅で他のメンバーと合流し、ツアーがスタート!
ツアー参加者は、先頭を行くガイドの丹羽さんについて走りながら、曲がりくねった細い道や田畑、日本家屋が並ぶ街並みの中を抜けていきました。田畑や集落が広がる風景はそれだけでも十分素晴らしかったのですが、遠くに見える山々が更にいい雰囲気を醸し出していました。
数々のミステリアスな石造物
しばらく走ると第1の目的地、吉備姫王墓前に設置されている「猿石」にたどり着きました。4体ある猿石はそれぞれ違うユニークな表情をしており、猿というより人間のような顔をしています。誰が何のために制作したものなのかは不明なので、「何かの神様を模したものなのかな」「それともありふれた日常を彫っただけなのかな」と、いろいろと想像を巡らせながら眺めると楽しいですよ。
ちなみに、明日香村のお隣・高取町にも「猿石」と呼ばれる同様の石像があるのですが、この地域にゆかりのあるモチーフなのでしょうか。それとも、誰かが高取町まで猿石を運んだのでしょうか…。謎です。
その後少し走って小さな丘の中腹まで来た辺りで、丹羽さんは急に「お手洗いに行きたい人はいますか」と参加者に尋ねました。「こんな場所でなぜ急に?」と思った私でしたが、次に立ち寄った観光スポットが「鬼の雪隠」という名前だと聞いて納得。中央に長方形の空洞が開いた巨大な岩は、鬼が使っていた雪隠(トイレ)といわれているそうです。そして、その近くにある平らで大きな岩は「鬼のまな板」と呼ばれています。
ちなみに、これらの石造物は実際には雪隠やまな板ではなく、崩落した古墳の一部とする説が有力なのだとか。
正体不明の石造物が多い明日香村。続いて私たちは、亀がうずくまったように見える巨石「亀石」と男性器を模したマラ石を見物に行きました。ド直球な形をしたマラ石(および近隣のフグリ山)は子孫繁栄の象徴と考えられています。どちらの石造物も対象物をシンプルかつ素直に表現していて、私は少し驚きました。生きている時代は違っても、当時の人も今の人間と同じように物事を捉えていたように思えました。
明日香村の石造物は博物館や資料館にあるのではなく、田んぼの脇や家屋の近くなど日常に溶け込んで存在しています。古くからこの地域の人々がこれらの物を大切に扱ってきたからこそ、貴重な遺物が現代まで残されてきたのです。それこそが明日香村の歴史の深さを物語っているように思えて、なんだか感慨深かったです。
日本最初のお寺・飛鳥寺
ここまでは石造物ばかり巡ってきた私たちでしたが、他にも飛鳥宮跡やお寺にも立ち寄りました。飛鳥宮跡には現在石が敷かれた宮跡が残るだけですが、1400年も前の人々が作った建物の規模感と構造を知ることができる興味深い場所です。
また、6世紀末頃に創建された日本最初のお寺・飛鳥寺も要チェック。このお寺は他の寺社と比べるとかなりシンプルな造りをしています。仏教が日本に伝わった当時の事に思いを馳せながら境内を散策するのも楽しかったです。
飛鳥寺のご本尊は高さ2.7メートルを超える大きさ。すぐ近くまで行って参拝することができるので、その大きさがより体感できます。真言宗の開祖・空海の時代以降に建てられた寺院の場合、ご本尊は普段見ることができないことも多いですが、仏教が伝わった当時はご本尊と参拝者の距離感が近かったのでしょう。
観光も良いのですが、せっかくサイクリングに参加したのなら楽しみたいのが食ですよね。明日香村には地元食材を使ったレストランがたくさんあり、ランチはガイドの丹羽さんおすすめの店で堪能しました。町中には無人販売所が点在しており、飛鳥駅の近くには道の駅もあります。採れたての作物が揃っており見て回るだけでも楽しいので、立ち寄ってみる価値ありです。
ツアーを終えて
今回参加させていただいた「にわサイクリングツアーズ」社のツアーは、歴史的観光スポットも現代的なスポットも案内をしていただきとても満足できる体験となりました。今回はご紹介しきれなかったものの、私たちは石舞台古墳や甘樫丘、稲渕の棚田などにも訪れました。特に棚田ではかかしのデザインを競う「かかしコンテスト」が毎年開かれ、秋の期間中は展示を見ることができるので、ぜひ実際に足を運んで楽しんでみてください。
明日香村には、自転車で訪ね歩きたい魅力的なスポットがたくさんあります。のんびり風景を楽しむのも良し、歴史探訪するのも良し。ミステリー好きであれば、記事内でもご紹介した石造物を巡るサイクリングというのも楽しいと思います。大阪や京都、奈良市内からのアクセスも良い明日香村にぜひお越しください!