この記事を読んでいるということは、日本で最も有名なお花見スポットの1つ「吉野山」を訪れようとお考え中ですね!お待ちしていました!
でも実際訪れる前に、皆様にぜひ知っておいていただきたいことがあります。吉野山在住で、外国人向けの観光案内も行なう私が、吉野山でお花見を行う際のポイントをご紹介します。
吉野山はどんなところ?
吉野山とは、稜線沿いに建てられた町のことで桜の名所としても日本で最も有名な場所です。「山」と名前につくものの、実際には地域の名前にしかすぎません。ただし急な坂は多いので、上ったり下ったりしながら何時間も歩かなければいけない事をご承知ください。吉野山は深い歴史がある地域なので、有名な寺社仏閣数多くあります。飲食店のほか、葛や柿の葉寿司といった名産品やオシャレな商品を売るお店もあります。宿泊施設も多数ありますが、ビジネスホテルはなく、ほとんどが旅館や民宿です。
桜のベストシーズンはいつ?
まず「桜はいつ咲くのか?」という質問については、吉野山で暮らす私でも「気温に左右される」としかお答えできません。また、「ベストシーズン」という表現も吉野山の桜については難しいのです。吉野山には約3万本の桜があり、山の下部から上部にかけて咲き上がっていきます。
例年4月5日~10日頃であれば山全体で桜が咲いているのですが、やはり年によって変わるため「この時期なら絶対咲いている」とは言い切れません。しかも、開花した後風が強い日があったり雨が降ったりすると早く散ってしまいます……。ただ、早すぎるよりは遅いぐらいの時期の方が桜吹雪を楽しみつつ山の上部に咲く桜を眺めることができるのでおすすめです。
ここまでお伝えすると、お花見旅行の予定を立てるのがとても難しい事がお分かりいただけたのではないでしょうか。なので、日程を調整できるように予備日を設けておくと良いと思います。吉野山には素敵な宿がたくさんあるので宿泊していただくことをおすすめしたいのですが、日程の調整という点から言えば、宿を予約しておくよりは日帰り旅行で訪れる方がいいかもしれません。
ちなみに、開花状況など桜に関する最新情報はウェブサイトで公開されています。
https://yoshino-kankou.jp/cherryblossom/
吉野山のベストお花見スポットはどこ?
吉野山は大きく4つのエリアに分けることができ、それぞれの場所で桜を楽しむことができます。山の下部は「下千本」と呼ばれ、上部に行くにつれてそれぞれ「中千本」「上千本」「奥千本」と呼ばれます。桜は標高の低い下千本から奥千本にかけて咲いていくので、上記でお伝えした時期にお越しいただければ、どこかのエリアで桜が咲いています。観光道沿いやお寺の庭などでも様々な種類の桜が見られるので、散策しながらのお花見がおすすめです。
下千本と呼ばれるエリアは、標高207メートルの近鉄吉野駅あたりから始まります。電車を降りると、そこはもう桜の世界!観光客の中には、「ここでも十分きれい!」と言う人もいます。そこから吉野山の奥千本(標高736m)までは、寄り道せずに真っすぐ歩いても約7kmあります。
この道中にある有名なお花見ポイントは、開けた視界が広がる「吉水神社」と「花矢倉展望台」です。吉水神社からは山全体に広がる桜を見上げることができ、花矢倉展望台からは絨毯のように広がる桜を眼下に眺めることができます。
お花見をしながらの散策やピクニックをしたい方であれば、下千本~上千本エリアがおすすめです。近鉄吉野駅から「七曲り」と呼ばれる坂道を上っていくと、飲食店やお土産屋さんが並ぶ吉野山のメインストリートへと繋がっています。
もし、人通りが少ない場所で木々をバックに写真を撮りたいのであれば、時間と労力は必要ですが奥千本まで行ってみてください。奥千本は他のエリアと比べると桜の数は少ないのですが、山の上ということもあり訪れる観光客も少ない場所です。ちなみに奥千本の桜は新しく植えられた若いものが多いので、毎年訪れて成長を見守ったり、未来の姿を想像したり……という楽しみ方もできると思います。
吉野山全体が大混雑!
約10日間で30万人もの観光客が訪れる桜の季節は、吉野町が1年のうちで最も混みあう時期です。吉野山は比較的狭いエリアであり、1本の細いメインストリート沿いに民家や飲食店・お土産店などが広がる場所です。そのため、観光客が押し掛けると道は2~4キロに渡る黒山の人だかりとなり、車道は渋滞し、吉野へと向かう電車も都会のラッシュアワーかと思うほどすし詰めになります。
桜の時期の吉野山は、本当にどこもかしこも大混雑します。ギュウギュウの電車で立つことも、トイレの順番待ちも、昼食をとる場所(それどころか座る場所も……)が見つからないことも覚悟の上でお越しください。吉野山の桜と人混みは、もはやセットと言っていいでしょう……。
人混みを避けるには
残念ながら、桜が満開の時期の人混みを避ける方法はありません。私も吉野山に移り住む以前にお花見をしようと観桜期に訪れたことがあったのですが、たとえずんずん山を登って行っても、上千本にも奥千本にも多くの人がいて、なんだか桜の巨大迷路に迷い込んだような気分でした。ここで皆さんに、私が自分の経験から学んだ人混み対策をお伝えしたいと思います。
- 訪れるなら休日より平日
→ 吉野山の名所を堪能したいのであれば、平日のなるべく早い時間に訪れてください。人混みに邪魔されることなく観光を楽しむことができます。 - 夕方~夜の散策もおすすめ
→ 吉野に向かう午前~14時頃の電車と、昼過ぎ~夜にかけて吉野を出発する電車は大変混雑します。この時間を避けることで、快適に散策を楽しめます。(時間的に飲食店・お土産屋さんは閉まっているところも多いですが……) - 昼食は持参を
- 来訪は電車がおすすめ
→ 大渋滞する山道での運転や駐車場探しはもはや地獄です。電車であれば、駅に到着すればすし詰め状態から解放されるので、車よりはストレスが少なくて済むと思います。 - 公共交通機関を使わず、歩くのもあり
→ 吉野駅からは吉野山のメインストリートに向かうバスやロープウェイが出ていますが、常に乗車待ちの長い行列ができています。駅からメインストリートは歩いても約20分程度なので、散策がてら歩くのも気持ちいいと思います。 - 散策マップをゲットしよう
→ 吉野駅前にある観光案内所や、吉野山観光駐車場の前あたりで配られている散策マップがあると名所や各地点の所要時間がわかるので便利です。 - 荷物は最小限に
→ 吉野駅前にはコインロッカーがありますが、観光客が多い日には埋まってしまうことも珍しくありません。荷物を持って山道を歩く事態になった場合でも大丈夫なように、持ち物は最小限にしましょう。 - う回路も使おう
→ 吉野山を歩いて上る際は、メインストリートとは異なるルートを使うと少しは混雑が避けられます。吉野駅からメインストリートに続く「七曲り坂」は多くの人で混雑しますが、左手の方にある「ささやきの小径」は圧倒的に人が少ないです。(道中で見られる桜も少ないですが……)
ささやきの小径
ささやきの小径はメインストリートと平行に走っている道で、山の中腹の何か所かでメインストリートに接しています。人通りが少ないので、静かに自然の風景を楽しみたい方にはピッタリの道です。
ささやきの小径は、右に行けばメインストリート、左に行けば如意輪寺へと繋がる分かれ道まで続きます。如意輪寺付近からは別のハイキングコースが伸びており、その道を進むと花矢倉展望台の付近でメインストリートと合流します。如意輪寺付近には他にも、吉野地域で一番美しい滝と言われている「高滝」へと続く細い道もあります。
吉野山にあるもの
- 地図など:
様々な情報が載っているパンフレットは吉野駅前にある観光案内所や、吉野山観光駐車場の前あたりで配られています。日本語だけでなく、英語などで書かれたパンフレットも充実しています。 - トイレ:
吉野駅から奥千本にかけて数か所に公衆トイレがあります。駅を出てすぐのところにあるトイレは、ピークシーズンには長い列ができます。20分ほど歩くとロープウェイの駅の横にも公衆トイレがあるので、そちらを使うと良いかもしれません。 - ATM:
吉野山のATMは郵便局にある1つのみのため、ATM内の現金が尽きてしまうことも頻繁にあります。吉野駅の2駅手前の近鉄大和上市駅から徒歩圏内にあるコンビニにもATMは設置されているので、そちらを利用しても良いかもしれません。吉野山の小さな商店ではクレジットカードが使えないことも多いので、いつもより多めに現金を持っておいた方が安心です。 - 飲み物:
飲み物を売っているお店や自動販売機がたくさんあります。しかし中千本エリアより先にはほとんどないので、事前に準備しておくのがおすすめです。 - 公共交通機関:
バスは吉野駅前から吉野山中腹の「中千本バス停」まで出ており、中千本バス停近くの「竹林院群芳園バス停」から奥千本まで別のバスが出ています。それぞれのバスの乗車時間は約20分間です。2つのバスは運行会社が異なるため、乗り換えが必須となります。ちなみにこのバスは桜の時期だけの臨時バスです。吉野駅付近からはロープウェイも出ているので、歩くと20分ほどかかる坂道「七曲り」を避けたい方はご利用ください。
- Wi-Fi:
1回20分、1日10回まで使えるフリーWi-Fiが吉野山各所で飛んでいます。ホットスポットにはWi-Fiのイラストが描かれたシールが貼ってあるので、ログインしてご利用ください。