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修験道

聖地・大峯へ「修行旅」―吉野山から黒滝・天川への道―

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吉野の世界遺産といえば、大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)。修験道の世界ではみんなが目指す聖地・大峯への参詣道です。でも…そこは山伏たちの修行の場。とくに、奥駈道はアップダウンあり、岩場あり、苦しいだけの山登り。ただツライだけ!でも…その苦しさを喜びに変えるキーワードが「修行旅」。「修行だ!」と思えば、いつかご利益があるかも。それで今回は、リアル奥駈修行!(‘O’;)ではなくて、一日で体験できる山好きの修行旅(約20kmの山道・健脚向け)をご案内します。

早朝です。スタートは近鉄吉野線の六田駅。ここは大正時代に開通した、吉野鉄道の終着地・旧吉野駅です。そう…100年前の山好きは、ここから大峯を目指していったわけです。靴ひもを結んで、準備体操。目指せ、ライジング・サン!(つまり東に向かうってことね。)

 

美吉野橋

美吉野橋

国道169号線沿いには、木造の倉庫群が立ち並んでいます。そこをぬけると、吉野川が目の前に広がります。その川岸にゆれる柳は、昔の渡船場。ここが「柳の渡し」です。その渡し跡の上流にかかるのが美吉野橋。昭和11年(1936)に造られた橋です。これを渡って左へ曲がります。古い町並み、吉野貯木場の製材所群を通り抜けます。

その突き当たりが、吉野神宮駅。右手にみえる神宮の大鳥居。くぐって直進、吉野山へのぼります。吉野山。いわずと知れた桜の名所。まずはゆったりと、名所旧跡をまわりましょう。それで、まずは吉野山の中腹にある吉野神宮に参拝。吉野に朝廷をひらいた後醍醐天皇をまつる近代神社建築のメッカです。意外と知られていないのは、この一帯に、江戸時代まで「蔵王堂」があったことです。しばらくいくと、吉野山の大駐車場。下千本の桜を見わたしながら大橋(一の橋)を渡るとロープウェーの駅。昭和4年(1929)に竣工した現存する日本最古のロープウェー。平成24年認定の「機械遺産」です。

 

日本最古のロープウェー

日本最古のロープウェー

坂を上って黒門から銅鳥居へ。ここで鳥居に手を当てて、ルーティンの歌。「ありがたや~、かねのとりいに、てをかけて~、みだのじょうどに、いるぞうれしき~」。

 

金峯山寺蔵王堂

金峯山寺蔵王堂

さらにのぼると、世界遺産・金峯山寺の仁王門がみえてきますね。まずは本堂(蔵王堂)に参拝。その大きさ、圧倒的な迫力におもわず見入ってしまいますが、一息ついたら長居せずに。蔵王堂からすすんで、中千本のにぎやかな商店・旅館街をぬけ、つづら折れの坂をのぼると世界遺産・吉野水分神社の真っ赤な鳥居ですが、一礼して先をいそぎます。

ここからは集落はほとんどなく、静かな杉林を歩きます。高城山の展望台をすぎて、桜の植樹を右手にみながら、ようやく世界遺産・金峯神社の大鳥居がみえてきました。のぼりきったら拝殿。金峯神社に参拝。さて、次は右手の奥にみえる石畳の古道(山道)をいきます。世界遺産のほんとうの古道はここからはじまります。この道は、吉野山の最高峰・青根ヶ峯(858m)をすぎて、はるか南方の山上ヶ岳へと続くのですが、この道を右手に外れ、黒滝村の百貝岳(ひゃっかいだけ・863m)へ向かいましょう。これがもうひとつの大峯参詣道「鳳閣寺道(ほうかくじみち)」です。

木立のなかをいけば、1時間弱で百貝岳の頂上へ。急坂を下ると、覆屋で護られた石造の宝塔があらわれます。修験道中興の祖といわれる、聖宝理源大師(しょうぼうりげんだいし)の廟塔(国の重要文化財)です。ここを下れば鳳閣寺。晴れた日には特設デッキから奈良県、大阪湾までが一望できる絶景ポイントです。お昼ごはんを食べるならココしかない。

 

鳳閣寺からの眺めは抜群!


鳳閣寺から下ると、南北にはしる車道に合流。これを右へしばらくいくと、地蔵堂があります。ここが地蔵峠。下市町と黒滝村の境界です。その前に冷たい清水が湧いています(一休み)。再びもとの道を引きかえして、そのまま車道を南下。しばらく川沿いにいくと、黒滝村の中心部・寺戸の集落です。村で唯一の!信号機があります。足に痛みをおぼえたら、無理をせずにここからバスにのって帰りましょう。

さて、黒滝川に沿って南へ。源流にむかいます。黒滝村役場前を通りすぎ、河分神社の鳥居がみえたら、右手へ。今日一番の難所、小南峠(こみなみとうげ)へと向かいます。道沿いの川底には、普段見ることのない赤岩がゴロゴロ。昔、紀伊半島が海の底にあった頃の、深海プランクトンのかたまり(チャート)

峠の頂上まではずっとアスファルトの坂道。途中景色のよいところがありますので、休憩しながら、修行、ご利益、修行、ご利益とリズムよく登りましょう。あがりきったら、吉野川と熊野川の分水嶺・小南峠(こみなみとうげ・1050m)。明治34年(1901)に竣工した、小南峠隧道(トンネル)はまだ現役です。

 

洞川の街並み

洞川の街並み

トンネルをぬけると天川村。夕暮れせまるなか林道を下っていくと、洞川の街並み。空高く架かるつり橋(かりがね橋)の下をぬけてゴールは、大峯修験の総本山・龍泉寺。本堂で旅の満願を済ませれば、待ちに待った温泉!旅館街をそぞろ歩きしながら、洞川の夜をゆっくり楽しむことができます。おつかれさま。

翌日、男性なら早起きして、片道3時間の山上参り(世界遺産・大峯山寺へ参拝)もよし。宿でゆっくり朝風呂につかって、近鉄吉野線の下市口駅までバスで帰るもよし。おみやげの「ごろごろ水」も忘れずにね。次回の修行旅も、お楽しみに(もしかしてシリーズ化??)。

よしのーと編集部

よしのーと編集部

吉野の隠れた魅力や楽しみ方を紹介いたします。

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