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看板料理は葛うどん!名物女将が代々営む「静亭」

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日本三大桜名所として知られる奈良県吉野町の吉野山。近鉄吉野駅から山を40分ほど登った中千本なかせんぼんと呼ばれるエリアにあり、静御前が舞を舞ったと伝わる勝手神社の向かいに店を構えるのが「静亭しずかてい」です。気さくで親しみやすい3代目女将が夫婦で切り盛りしています。

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桜の季節は多くの観光客が訪れ、地元住民やリピーターもなぜかついつい足を運んでしまう静亭。昭和23年の創業以来70年以上愛される、その人気の秘密に迫りました!
 

魅力の1つは、女将のキャラクター

話を伺ったのは、初代女将の孫にあたる林美佳さん。初対面でも思わず引き込まれてしまう明るい笑顔と快活な話し方が魅力的な女性です。ご自身では謙遜されますが、きっと林さんに会いたくて店に通うリピーターも少なくないはず。

3代目女将・林美佳さん

 
聞くと、静亭は代々女将のパワフルさと人を惹きつける魅力でここまで歩んできたそう。初代女将は、夫が第二次世界大戦に出兵した中でも子育てと開店資金調達を一人でこなし、戦後3年で静亭をオープンさせたといいます。

そして、その初代が「この子は商売の才能がある!ぜひ嫁に!」と一本釣りしてきたのが林さんの母である2代目女将。いつも店先に立って店の宣伝をしていた方で、ファンも多かったそうです。中には「料理は別にどうでもええねん。女将に会いに来てるんや」と言い放つ常連さんもいたほど。現在でもリピーターが多い静亭ですが、「母の時代は今以上に固定客が多かった」と林さんは振り返ります。

しかし2代目女将であったお母様が病のため若くして亡くなり、当時まだ学生で若干20歳だった林さんは心の準備もまだ整わないまま3代目女将を務めることになります。母を失った悲しみに加え、母のファンが離れていったことや女将としての経験値の低さから、店に立つことが苦痛だった時期もあったそうですが、スランプを2年で克服。以来、持ち前の明るさと前向きさでがむしゃらに働き、調理を担当する旦那さんと共に3代目流の静亭を作り上げてきました。
 

時代に合ったメニュー開発

先代の頃まで、吉野山には修験道の修行のため全国からやって来る山伏やまぶしがたくさんいたそうです。しかし時代は変化し、静亭の顧客は山伏よりも観光客が増えていきました。そこで、3代目夫婦は観光客にも受けそうなメニューを増やすことにしました。

看板メニュー!葛うどん定食(税込1,350円)

 
初代から受け継がれる自家製味噌や出汁の配合といった大切なものは守りつつ、新たに生み出した看板メニューが「葛うどん定食」。吉野の名産品である葛を使ったうどんに餡がかかり、自家製柿の葉寿司や小鉢がつくセットです。

一般的なうどんとは違い、細くてツルっとのど越しのいい葛うどんは、ちゅるちゅるといくらでも食べられそう。程よい塩加減の鯖と少し甘さを感じるシャリが葉っぱにふわっと包まれた柿の葉寿司を合間にかじり、また葛うどんをちゅるちゅる…。ザ定番!という雰囲気の「葛うどん定食」ですが、山伏が多かった時代の静亭には一品料理が多く、葛うどんを使った定食や洋風メニューはなかったそうです。

夏季限定の冷やし葛うどん定食(税込1,350円)

 
夏季には、葛うどん定食の「冷やし」が登場します。ひんやり冷やされた葛うどんは、温かい状態でいただくよりものど越しがアップ!縁側席に座って店内を吹き抜ける風を感じながら冷やし葛うどんを食べると、不思議と真夏の暑さも忘れられます。

静亭では秋には山の幸の炊き込みご飯、冬には鴨鍋やぼたん鍋といった四季折々の料理が提供されるので、1年に何度訪れても楽しめます。

変わり種!かるぼなーら葛うどん(税込1,000円)

 
こちらは、女性や外国人はパスタが好きだよね、と自身もカルボナーラ好きの女将が考案した「かるぼなーら葛うどん」。普段アルデンテのパスタを食べ慣れている人は、パスタと比べると柔らかく優しい麺の食感に驚くかもしれません。そのまま啜り上げるとツルっとした葛うどんは暴れるので、フォークに巻いていただきましょう。
 

自宅で静亭の味を楽しむ

2020年現在、新型コロナ感染症の拡大を受け、自由に外出ができない日々が続いています。例年に比べて吉野山の観光客は驚くほど少なく、イベントに出店してのPRができない今、女将が注力しているのがネット販売。主力商品は、柿の葉寿司と開発に1年かけたという「味噌クリームチーズ」です。

「祖母の味噌を活かすことができ、日持ちもする商品を作りたい」との思いで試行錯誤を繰り返し、多くの人に意見をもらって誕生したこの味噌クリームチーズ。自家製味噌に国産クリームチーズを1か月半漬け込み、桜や柚子の風味をまとわせています。お酒に合うように味を調整していて白ワインにも日本酒にもピッタリらしいので、大の酒好き筆者、大喜びで自宅で実食してみました。


 どんな味だろう…と想像力を膨らませて作った料理は、いずれも贅沢にチーズを使った3品。桜の方は、女将おすすめの鶏ササミ、大葉と一緒に巻いて生春巻きに。柚子は秋鮭に塗って焼いたり、炒めた玉ねぎとしめじを和えたりしてみました。今回は、これらの料理にフルーティーでやや辛口な白ワインと酸味が特徴の日本酒を合わせました。

まずは、シンプルにバゲットに塗っていただきました。チーズに葛が配合されているからか、市販の小包装されているクリームチーズよりも塗り広げやすくて楽!塗った瞬間、柚子はより香りが広がりました。一口食べると、爽やかさが前面に出てくる柚子に対し、桜は味噌の甘さが感じられます。白ワインが進む!

柚子味噌クリームチーズを使った2品

 
次は、柚子味噌クリームチーズを塗って30分ほど置いてから焼いた秋鮭。加熱すると味噌がより立って、柚子はふわっと香る感じになりました。鮭を漬けて余ったチーズも一緒に焼いてソースにしたのですが、冷めて少しずつ固形に戻っていくチーズは調理前とは違って香ばしさが加わり、これだけでも酒が飲める!調理時間約5分、切って炒めて和えて冷やしただけの箸休め、玉ねぎとしめじの柚子味噌クリームチーズ和えも箸とワインが止まりません。

 生春巻きは具材の分量を誤ったのか、チーズ感はありましたが桜感も味噌感も際立たず、ちょっと残念。飲兵衛筆者は、リベンジ&より桜味噌クリームチーズを活かせる料理を作ることを誓ったのでした。

味噌クリームチーズはそのまま食べるのも美味しいですが、アレンジしたりお酒とのマリアージュを考えたりすると楽しみ方の幅が無限大!気軽に外出できない時期でも、このチーズとお酒があれば、おうち時間を満喫できそうです。

 

これからの静亭

「コロナ終息後も、以前ほど観光客は戻らないかもしれない。だからこそ、今も静亭に足を運んでくださる方や贔屓にしていただいている方を大事にしていきたい。そういった方としっかり向き合い、息子の代や孫の代になっても皆様に支えられ愛されるようなお店にしていきたいです」と林さん。

たとえ状況が厳しくても、代々受け継がれる女将の魅力とパワフルさがあれば、静亭は100年200年と続いていくのではないかと感じました。静亭ファンの1人として、今後も応援していきたいと思います!
 

静亭

住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山952
TEL:0746-32-3157
営業時間:9時〜18時 ※観桜期は8時〜20時
定休日: 不定休
HP:http://www.yosino-sizukatei.sakura.ne.jp/

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うぃーだ

うぃーだ

旅と酒ともふもふ動物を愛するアラサー女子。上場企業の広報部や地域情報誌の編集者を経て、「よしのーと」ライター兼吉野ビジターズビューロースタッフに。

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