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吉野木材と職人技が織りなす『神然流 ひのきの折り畳み机』~後編~

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時が経つほどに強度が増し、美しいツヤが加わって、香りを放ち続ける……それが “ほんまもん”の吉野ひのき。時間と手間を惜しまず自然乾燥させたひのきの希少価値を教えて頂いた前編。本物のひのきの魅力が詰まったステキな家具が誕生しましたので、早速ご紹介しましょう。

「これは良い!」「これは凄い!」と、あまりの便利さと吉野ひのきの素晴らしさに感動した神然流のプロデューサーが、ぜひ販売したいと切望したのが、この「吉野ひのきの折り畳み机」です。

スベスベの木肌は美しく、手になじむような温もりがある。木材独特のうっとりするほどの品の良い香り……そして驚いたのが、開閉がすごく簡単にできること。スッと折り畳んで収納できるので便利です。ウッドデッキでも室内でも使えそう、ソファーの横に立てておこうかなぁ、ちょっとしたパソコン作業にちょうど良い、キャンプに持って行くのも良さそう、など様々なシーンでの活躍が思い浮かぶので、自宅に一つあったら良いな! と欲しくなります。

ペタンと寝かせた左右2枚の天板を両サイドから軽く持ち上げたら、素敵なテーブルのできあがり。たたんで片付けるのも簡単で、収納する際の幅は10センチと超スリム。こんな画期的なアイデアは、一体どこから生まれたのでしょうか? 神然流ブランドが誇る折り畳み机の発案者、寺本木材の寺本武さんに伺ってみました。

「いやあ、便利なものがあるんやなあって。うちの母親が、これに似たような作りのものを、庭先で使ってたんですわ。素材はもっと軽いベニヤ板みたいなものやったけど、アイデアはええなあと思った。ほんまもんの無垢材でちゃんと作ったら、すごく良いものができるんと違うかって思うてね」

ご高齢のお母さんが便利だと使っていた簡易テーブルの構造に着目し、さすがは木を知り尽くした寺本さん、何倍もの強度で、更にステキな折りたたみテーブルを、最高級の吉野ひのきを素材に作り上げました。市場に多く出回っている強制乾燥された木材とは異なり、油分を失わず自然乾燥した天然材でできているため、使いこむほどに色ツヤは増し、木の味わいが深まっていきます。最初はどれも同じように見えますが、数年後にはこの世に一つしか存在しない自分だけの味のあるテーブルになるのです。

そんな経年変化を楽しむために、あえて着色はしないまま。サラサラとした手触りが気持ち良くやさしい色合いは、どんな利用シーンでもなじんでくれそうです。木肌が茶色の風味が徐々に濃くなっていくのを楽しむも良し、最初に保護材を塗っておいても良い味わいが出てくるよと寺本さん。おすすめは、『自然塗料いろは』(アールジェイ株式会社)。植物油や蜜ろうなどの自然素材でできているので、これを塗り込めば子どもが誤ってテーブルを舐めてしまっても大丈夫。化学塗料とは異なり皮膜を作らないので、木の呼吸を妨げないそうです。

つまり、原木を削ってテーブルになっても、「木は呼吸している」というのです。呼吸することで部屋の湿度を調節し、空気を快適に保ってくれる。ひのきが優れたまな板などにも重宝されるのは、木そのものに殺菌効果があるためで、家具としてもその長所が生かされ、清潔に長く愛用することができるでしょう。

そして、最大の魅力は香りの素晴らしさ。これほど清潔感のある良い香りが続くのは、寺本さんが手塩にかけた極上の吉野ひのき材だからこそ。香りのもとは、木が持っている“フィトンチッド成分”です。ストレスを和らげたり、疲労回復に役立ったり、消臭やダニなどを寄せつけない働きがあります。“コンクリートジャングル”という言葉、都会生活の冷たさや寂しさを連想させますが、そんな暮らしの中に木の家具を取り入れてみると、優しく漂う香りに、ホッとするような空間作りができそうです。

自然乾燥の吉野ひのきが素晴らしいのは良く分かりましたが、そんな貴重な木材のみで作られたテーブル、さぞお値段も張ってしまうのでは……? と想像したのですが、なんと、発案者の寺本さんみずからが、ぜひお求めやすい価格にとご進言。「とにかく一度手にしてもらって、職人が作ったもの、吉野ひのきがこんなにも良いものだということを、まずは知って頂きたい」という想いに、こちらの胸も熱くなるほど……。木の価値からは想像できないような驚きの価格が、作り手の声で実現したのです。

今回、寺本木材の寺本武さんに“ほんまもんの木”の魅力を教わってから、私は鼻を敏感に働かせるようになりました(まるで、“ほんまもん”探知機を付けたかのように)。たとえば散歩中に建築工事中の家を見かけると、クンクン……おっ? 木の香りがする(自然乾燥の木材かな!)とうれしくなり、逆に香らない現場もあるもんだなあ……と違いに気がつくようになってきました。それにやっぱり、神社の境内は木材の良い香りがします。特に雨の日が続くと、木はさらに濃く美しく、気品ある芳香を放つものだと分かります。もしかすると吉野から来たひのきなんじゃないかなぁ、なんて観察して歩くようになりました。

実感するのは、「やっぱり“ほんまもん”はいいなあ!」ということです。価格の前にはちゃんと価値がある、そんな本質的なところに目を向けると、違いのわかる大人へと少しは近づけるような気がします。パッと見だけの、見た目のキャッチーさよりもっと、長く使うほどに愛着を深めていけるもの。そんな木材と一緒に暮らしていきたいという、気付きをくれた寺本さんの言葉が心に深く染み入っていきます。

寺本さんたち職人が手作業で木を削り、組み立てていく折り畳み机。一つ一つに思いがこもって、決して大量生産できるものではありません。ようこそ、わが家へ――。貴重な一台を、私もお迎えしました。これから長く私と暮らしていくこのテーブルがどんな表情へと育っていくのかとても楽しみです。

※ 神然流 折り畳み机はこちらから購入できます

山本 亜希

山本 亜希

1975年、京都市生まれ。京都外国語大学英米語学科卒業後、海外旅行やグルメ取材、インタビュー記事を中心に東京での執筆活動をへて、2011年から京都市在住。ソウルシンガー、英語講師としても活動。

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