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漢方の里 吉野が誇る健康茶『神然流 大和当帰茶』~前編~

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大和当帰やまととうきはすごいらしい!」とは聞いていた。

パーソナルなことで恐縮だけれども、私自身が40代も半ばに入って、これまでになかったような謎の不調がちょびちょびと出始めて……来たよ、プレ更年期障害、たぶん来たのだわと。

えーい誰にでも来るのだ、女性なら誰にでも来る、どうせ来るならできるだけ愉快に乗り越えたいじゃないって、これからの体にいいもの、心おだやかにすごせるもの、さまざま調べていたのです。

個人的な好みですが、薬は使いたくない。できればオーガニック、なるべく自然由来のナチュラルなものがいい。そうやって見て聞いて、調べてするうちに、出てきたのが――「大和当帰はすごい」「昔から更年期には大和当帰」「栄養価高すぎ、ハンパない」「抗ウイルス、免疫力アップに、大和当帰を取り寄せてる」。

当帰? 大和当帰って何だ? どうやら植物っぽい。大和というのだから、奈良のローカル野菜か? 漢方なんだな? わかるのはそのくらい。食べるべきか、飲むべきか、それとも煎じればいいのでしょうか。なんと、大和当帰を育てている農家の方に話を聞けるチャンスというので、喜び勇んで出かけて行きました、いざ吉野町へ。

お会いできたのは大和当帰を栽培する農家の、南榮治さん。さっそくですけど南さん、大和当帰が吉野の特産品、昔からの伝統野菜だっていうのはわかりました。それで、吉野の人たちって、大和当帰を食べてはるんですか?

「いやあ、僕自身は食べたことはなかったなあ。吉野で生まれて吉野に住んでるけど、大和当帰っていうのも特に知らんかったです。育てるようになったのは、ちょうど10年前、前の仕事を定年退職したときから。知り合いの農家さんから当帰というのを教えてもらって、ほお、めずらしい植物があるもんやなあって。吉野のものか、初めて見るけどおもろそうやなあって思いまして」

意外にも、吉野で長く暮らす人にとっても、大和当帰はよく知られた植物でもないみたい。現在も、この吉野町で栽培しているのはわずか6〜7軒ほどというから、ますます貴重でミステリアスなものに感じます。

現在は少しのしいたけ栽培とともに、一年を通して大和当帰を専門に育てている南さんは、もとは中学校の数学教師。子どものころから理数系が得意、いやむしろ数学よりもっと理科への興味のほうが強く、定年したら次こそは好きな植物を育てて暮らしていこうと、ずっと楽しみに考えていたのだそう。何を栽培するのがいいだろうと、探していた矢先に出会ったのが大和当帰。なんや、このギザギザした形の葉っぱは、香りもすごいわ。なんでこんな香りがするんやろう。どう育てるのだか、わからないことだらけだけれど、おもしろいと思ってと、南さんは、「当帰の栽培はおもしろい」と何度もくり返します。

大和当帰はもちろん、多くの伝統野菜にいえることですが、古くからの栽培方法にたいへんな手間がかかったり、こだわりがあって難しかったりして生産数はとても限られてしまい、特に生のままで県外に出回ることはめったにありません。それゆえに一般的に広くは知られていませんが、実はこの当帰、漢方や薬膳を学ぶ人にとっては、吉野葛とならんでもっとも基礎の段階で覚える、日本の主要な生薬のひとつなのだそうです。

大和当帰の歴史は長く、その名前は日本書紀にも記されているほど。推古天皇が統治していた7世紀ごろから、すでに薬草として使われていたのです。重宝されてきたのは、“根”の部分。特に、血液を浄化し、循環をよくする働きがすばらしく、血行不良、貧血、冷え性、月経困難、産前産後の体調改善などなど…あらゆる婦人病の要薬として、日本の女性たちの健康維持に貢献。ほかにも、滋養強壮や鎮痛に高い効果があるとして、『当帰芍薬散とうきしゃくやくさん』などの多くの漢方薬に使用されてきました。

では、“葉”はどうだったのでしょう? 昔から、当帰は香りが強いものほど高い効能を秘めているといわれ、葉の部分にも根と同じ香りの成分があることが確認されています。南さん自身も、葉の形がおもしろい、独特の強い香りがする、最初にそこに惹かれたと言っていましたが――?

「葉は全部、捨てられてきたんです。6年ほど前やったかなあ、あるとき大手の農園が、葉を買い取りますよと言うてこられて。捨ててきたもんやから、驚きました。長年当帰を育ててきた先輩農家の方なんて、もう高齢なもんで根の収穫はやめる、これからは葉だけにするわって。根は育つまで2年もかかるし、シカやらイノシシの好物らしくて、畑のなか全部、根こそぎ食べられてしまうこともある。葉なら大きくなるごとに刈り取って、安定して出荷していけますしね」

背景を調べると、2012年に大和当帰の葉の部分が、「“非医”扱いになった」ことがわかりました。薬ではなく食品としての流通が可能になり、捨ててきた葉も有効利用できるようになったのです。なんと、時期によっては、根よりも葉のほうが有効成分が多く含まれていることがあるのだ、と南さん。

栄養成分を見てみても、葉には栄養素がいっぱいで、しかもものすごく高濃度。これはもう、和製スーパーフードといわざるをえないほど! ビタミン類をはじめ、カルシウム、葉酸、鉄分など驚くほど豊富な栄養素が満点レベルで含まれていて、栄養価グラフにするとほとんど足りない成分がなく、きれいな丸の円形になるくらいです。特に、「若返りビタミン」「体のサビ取りビタミン」なんていわれるビタミンEの含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載されているすべての野菜・果実・穀物・種実・豆類と比べて、堂々のナンバーワン※! 生活習慣病の予防や、美容にも大きな効果が期待できそうです。 

これまでは大量に捨てられてきたため、地元の人でも口にしたことのなかった当帰の葉、いまでは吉野山の旅館などで地元産のローカル食材として天ぷらにしたり、みそ煮にしたりするのが人気なのだそう。どんな味がするのだろう、食べてみたい、見てみたい……とうずうずしていたところ、「畑、行ってみますか?」と南さん。ぜひ!とふたつ返事で、喜んでついて行くことになりました。

南さんが初見で惹かれたという、独特の形、香り。大和当帰の葉は、いったいどんな味? どうやって栽培されているのでしょう。吉野が誇るこのスーパーフードを毎日の生活に取り入れて、美容に、更年期対策に、免疫力アップを目指したいという方にも、大和当帰をぜいたくに使ったオリジナル・ブレンドティーをご紹介します。

⇒ 【後編につづく】
根は漢方薬に、葉は栄養がいっぱいのスーパーフード大和当帰のブレンドティーができました!

※ 神然流 大和当帰茶はこちらから購入できます

山本 亜希

山本 亜希

1975年、京都市生まれ。京都外国語大学英米語学科卒業後、海外旅行やグルメ取材、インタビュー記事を中心に東京での執筆活動をへて、2011年から京都市在住。ソウルシンガー、英語講師としても活動。

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