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吉野の取り組み

TENJIKU制度 旅人の一日

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吉野町上市には「三奇楼」という古風なゲストハウスがあります。そのゲストハウスの一角では、吉野町と株式会社SAGOJOが、官民共同で「TENJIKU吉野」という泊まれるシェアオフィスを運営していて、ここでは一風変わった旅の形を受け入れています。
ここに訪れる人を私たちは「旅人」と呼んでいます。その旅人は、ただ吉野町を観光するだけではなく、もう少しディープに地域の中に入っていき、吉野町の地元の人々と関わりながら、人手が必要とされている作業を手伝うことで、その労働の対価として「TENJIKU吉野の宿泊が無料になる」というもの。今回は旅人たちがTENJIKU吉野でどんなふうに過ごしているかを時系列でご紹介してみたいと思います。

8:00 起床

基本的に起床時間の決まりはなく、現地(お手伝い先)に向けて出発する時間までに身支度ができていればいいので、旅人が起床する時間は様々です。張り切って「いつもよりも早く目が覚めた!」という人もいれば「静かな環境でいつも以上によく眠れた」とのんびり起きてくる人も。朝早く起きた人ものんびり起きた人も、天気が良ければ暖かな日差しが差し込むこの景色を見ながら一日をスタートさせます。

9:30 現地へ向けて出発

お手伝い先へ出発。場所によっては、徒歩やTENJIKU吉野で貸し出している自転車で向かったり、吉野町の関係案内人が車で送迎してくれたり、お手伝い先の人がTENJIKU吉野まで迎えにきてくれたりと、現地へ向かう移動手段は様々です。

10:00~14:00 地域の手伝い

いよいよお手伝い開始。地域のお手伝いの内容は、農作業、ゲストハウスの手伝い、希望があれば旅人自身がレンタルスペースでイベントを開催することも。今回は、旅人さんと一緒に、私自身も作業をさせて頂いた「わらびのほとろ処理作業(収穫し終えたつるを片付ける)」のお手伝いをした時の様子を紹介していきたいと思います。

今回お世話になった林さんは、吉野町内の龍門地区という所で畑を管理されており、その畑の中には林さん自身が所有する畑もありますが、人口減少が進み農家が減っていく中、なんとか畑を維持していこうと有志の人たちが集まって管理している畑もあります。

その畑の一角に「わらび」を育てているビニールハウスがあります。植物の知識も農業の知識もない私は、わらびは山の中に自生しているもので、わざわざ手間をかけて育てるとは考えたことがありませんでした。林さんは「誰でも育てられる野菜を作るより、市場にはなかなか出回らない、高級料亭でしか扱えないような物を、手間をかけて育てたいねん」と言いながら、一輪車や鍬、ちりとりなど作業に使う農具を用意し始めました。生産者のこんな想いがポロっと聞けるのも、地域の中に入って地元の人と一緒に作業をすることの魅力だったりします。

準備ができたところで、林さんは一通りの作業内容を説明してくれました。ビニールハウスの中にある「ほとろ(わらびを収穫し終えたつる)」をかき集めて外に出して、野焼きをする為に一か所に積む。ビニールハウス内のほとろを集めては一輪車やちりとりに乗せて外へ出す…単純な作業ですがこれがけっこうな重労働なのです。

それでも任された仕事を全力でこなす旅人の姿に「(手伝いに来てくれる旅人が)男性だと思って用意した作業だったから、女性の人で大丈夫か?と心配だったけどこんなによく働いてくれるんじゃ、心配は要らんかったな」と感心しながら笑顔で見守る林さん。旅人が一生懸命働く姿に「そんなに頑張らんでええよ。ぼちぼちやりや~」と途中でお茶などを持ってきてくれて、休憩をはさみながら作業すること2時間。正午を知らせるサイレンが聞こえると「昼メシ食べに行こか!」と、林さん行きつけの食堂へ連れて行ってくださいました。

お昼ご飯を一緒に食べながら、今、自分たちの住む地域が抱えている問題や将来への展望などを、少し恥ずかしそうに、でもしっかりと現状を捉えながら未来を見据えたお話しをしてくださいました。昔の吉野町の姿を知っている人の言葉は、なんだか寂しくもあり、それでいて、大事なものを次世代へ繋いでいきたいという強い意志がはっきりと伝わってくるものでした。こうした他愛もない会話の中で、地元の人の本音が聞けることができるのも、旅人として吉野町を訪れることの醍醐味だと感じます。

お腹も満たされたところでもう一作業。全部で3つあるビニールハウスの中のほとろをほとんど片付けて本日の作業は終了。
「この作業を1人でやるのが1番しんどいねん。ここまでやってもらえればあとは楽勝や。ほんまに助かったわ。ありがとう!」
そう言うと、大きくて立派な里いもと、袋いっぱいの柿を渡してくださいました。
「こんなもんで申し訳ないんやけど、うちで取れた里芋と柿。持って帰って食べてや。」
取れたばかりの作物が何よりのご馳走なので、普段、農作業に携わることのない旅人さんと私は、林さんの心遣いをとても嬉しく感じました。

地元の人の温かなおもてなしに心がじんわりほぐされたあと、再びTENJIKU吉野へ戻ります。地域のお手伝いが終わればあとはフリータイム。自分の足で町内を散策するもよし。TENJIKU吉野で、一日の作業の疲れを癒す為にのんびり過ごしてもよし。仕事道具を持ってきて仕事をするもよし。(・・ですが、仕事をする人はまずいません 笑)

夜はタイミングが合えば、星空観賞会に参加できたり、地元の人が主催する交流会に参加できたり。こればかりはその時次第なので何とも言えませんが、こういった会に参加し、日中とは違った地域の人と関わりを持てるのも旅人ならではの特権だと思います。

 
「また手伝いに来てほしい。会いに来てほしい。」と思う地域の人と「また吉野へ来て、地域のお手伝いをしたい」と思う旅人の素敵な関係がたくさん生まれているのがここTENJIKU吉野です。「観光以上、移住未満」こんな体験をしに吉野へ訪れてみるのはいかがでしょうか?

 

TENJIKU吉野 応募はこちらから

SAGOJO公式サイト:https://www.sagojo.link/

よしのーと編集部

よしのーと編集部

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