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奈良県吉野町でプチ“ワーケーション”体験

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2020年に突如全世界を襲った新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威。「新しい生活様式」の1つとして、テレワークに切り替わったビジネスパーソンも多いと思います。

こうした状況の中、リゾート地や地方都市で仕事(ワーク)を行いながら休暇(バケーション)を取得する「ワーケーション」という働き方が注目を集めています。皆さんは、自分がワーケーションをするならどんな場所を選びますか?

私は自分の職場がある奈良県吉野町がワーケーションに適した場所だと思っています。喧騒とは無縁の静かで落ち着いた環境は業務に集中するのにピッタリだし、終業後や休日には豊かな自然の中をハイキングしたり、歴史ある寺社仏閣を訪ねたりできます。またアクセスも大阪市内から電車で1時間半と良好です。

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吉野町の隣町に暮らす私ですが、今回は吉野町にある「吉野杉の家」という宿泊施設に実際に泊まってリモートワークを行い、ワーケーション気分を味わってきました!

 

「吉野杉の家」とは?

近年ワーケーション専用施設が誕生している地域もありますが、コワーキング&シェアオフィスの「YOSHINO GATEWAY」などがあるものの、まだまだ充実していません。そこで私がワーケーションの舞台に選んだのは、吉野川のほとりにたたずむ宿泊施設「吉野杉の家」。吉野町に住む有志メンバーが共同で運営する民泊施設です。コロナ以前は1日2組まで宿泊可能でしたが、現在は1日1組限定の1棟貸切スタイルになっています。

様々な雑誌にも掲載された「吉野杉の家」

実はこの吉野杉の家、2016年に東京で開催された「HOUSE VISION2 2016 TOKYO EXHIBITION」という展覧会のために生まれました。日本を代表する若手建築家の長谷川豪さんと、宿泊施設や民宿を貸し出す人・借りたい人向けのウェブサイト「Airbnb」の共同創業者ジョー・ゲビアさん、そして吉野町の3者がタッグを組み、「日本を代表する建築材の産地・吉野で、地元職人たちの高度な技術を使って昔ながらの家づくりの形を再現する」ことを目指して建築されたそうです。

 

ワーケーション初日

吉野杉の家にはホテルのフロント係のような常駐スタッフはいません。そのため、予約は電話ではなくAirbnbのウェブサイトからのみ可能で、チェックイン当日も予約完了時に発行される玄関ロックの解除パスワードを使って自分で入室します。入室は16時からで、以降は出入自由です。

玄関から見た吉野杉の家の室内

玄関で靴を脱いで室内に繋がるドアを開けると、目の前には天井も壁も床も木でできた広い居室スペースが現れました。川に面した側の壁は一面ガラス張りになっているため光が差し込んで明るく、室内全体から杉の香りもするので、清々しい気分になります!

「通常の終業時間までは仕事をしよう」と心に決めて職場から吉野杉の家に向かった私でしたが、いざ入室するとワクワクしてつい室内探検を始めてしまいました。まずは玄関から見た限りでは見当たらなかった、キッチン以外の水回りの捜索です!

手前のドアの向こうは洗面所とお手洗い、奥のドアの向こうはシャワー室

室内をうろうろしながら壁面をよく見てみると、小さな取っ手がついたドアらしきものをいくつか発見。少し持ちづらい取っ手をつまんで「えいやあ!」と開けると、1室からは洗濯機が置かれたシャワー室、1室からは洗面所とお手洗いが登場しました。水回りが壁の中に隠されていたこともですが、シャワー内や洗面台も木でできていることにビックリです。

そうこうしているうちに、時刻は17時。終業時間になったので、夕食を調達すべく徒歩約10分の場所にあるスーパーに出かけました。そして数十分後、宿に戻ってみると玄関には見慣れない大きな靴が…。

一人宿泊のはずの私を「あ、お帰りなさい」と迎えてくれた男性は、吉野杉の家を運営する地元有志メンバーのおひとりでした。チェックイン手続きと宿の説明のため、本業である製材所での仕事を終えてから駆けつけてくださいました。

手続きをしながら吉野杉の家の成り立ちなどについて教えていただいた後、運営メンバーさんはご退室。後は夜の静けさと控えめな室内灯の明かりの中、一人の時間を満喫します。きっと縁側で楽しむためのビールや目の前の川辺で遊ぶための手持ち花火などがあれば、より良い時間が過ごせたことでしょう。近隣に住宅がないので、ギターなどの楽器を持ち込んで演奏を楽しむのも良いと思います。

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寝室のある2階は内装に吉野ひのきが使われ、天井は三角形になっています。建物の左右に1室ずつ個室があり、宿泊人数に合わせて寝具が用意されているので、自分で敷いて就寝します。

 

ワーケーション本番となるのは宿泊2日目

2階の寝室スペース

スマートフォンのアラームに叩き起こされるより早く、寝室の大きな窓から差し込む太陽の光で目覚めた翌日。身支度を整えて川の流れをぼんやり見ていた朝8時頃、近所のカフェから予約していた朝食がデリバリーされてきました。洋風朝食でエネルギーをチャージしたら、いざお仕事開始です!

近所のカフェの女性店主手作りの朝食ボックス

ワークスペースとなるのは1枚板の掘りごたつテーブル。普段の職場や在宅勤務時とは違う環境ということもあり、アイディアが色々湧いてきて、この記事を書く手も進みます。コンセントがテーブルの両端にしかない点が少し不便ですが、フリーWi-Fiが飛んでいて、コーヒーも飲み放題!就業する上でのストレスはほとんど感じません。

ちなみに、1階は一面がガラス張りですが外からは中の様子がほとんど見えないようで、「時々川辺を歩く人と目が合って気まずい…」という事態にはなりませんでした。何に邪魔をされることもなくマイペースに仕事を進め、ふと気付くと部屋に差し込む光は夕日に変わっていました。

朝日と共に1日を開始し、木の香りに包まれる室内で活動し、日暮れと共に仕事を終える…。なんともナチュラルな生活です。

 

吉野杉の家でのワーケーションはこんな方におすすめ!

ワーケーション専門施設やシェアオフィスの利便性にはかなわないけれど、吉野杉の家は家族旅行の合間に業務を行いたいビジネスパーソンや普段とは違う環境で新しいアイディアに出会いたいデザイナーなどクリエイティブ系の職業の方のワーケーションにはピッタリだと思います。また、吉野杉の家を建築した長谷川豪さんのデザインや吉野の木材について学びたい方にとっても、この場所での時間は価値のあるものになるはずです。

オフの時間に楽しめる吉野町のアクティビティ情報については下記記事でご紹介しているのでぜひご覧ください。吉野杉の家ではレンタサイクルの貸出も行なっているので、周辺散策のお供におすすめです!

 

有料レンタサイクルは3台あります

 

吉野杉の家

住所:奈良県吉野郡吉野町飯貝624
TEL:なし
HP:https://www.yoshinocedarhouse.jp/
駐車場:1台(徒歩約5分)

うぃーだ

うぃーだ

旅と酒ともふもふ動物を愛するアラサー女子。上場企業の広報部や地域情報誌の編集者を経て、「よしのーと」ライターに。

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